蟹
蟹
白石くんはお歳暮でもらったカニを食べていた。
「こいつら間抜けだよな。食べるのに便利な体しやがって。」
そう言いながら足の先からへし折り、間接ごとに一つ一つたいらげていった。
ふとその時、一匹のカニが動いたかのような錯覚が見えた。
「?気のせいか…。」
次の日、白石くんはつまづいて足首を骨折した。
その次の年、白石くんは膝を骨折した。
さらに次の年、股関節を骨折した。
それから毎年、手首を折り、肘を折り、肩の骨を折った。
白石くんは、毎年骨を折っていたが、少しずつ骨折した箇所が上に向かっていることに、薄気味悪さを覚えた。
「このままじゃ、来年骨折するのは…。」
白石くんは来年のために、生きたまま売られていたカニを購入し、海に逃がしているそうだ。
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