逆手のナイフ
主婦のみこさんは家計の助けにと思い、パート勤めに出始めていた。
仕事中は立ちっぱなしの食品製造工場で、いつも帰宅するときには疲れ果てて足元がおぼつかなくなっていた。
それでも夫のため子供のため、家事をこなさなくてはならない。
朝食の片付けを後回しにしていたみこさんは、テーブルの上の食器を片付けようとしていた。
子供たちの好きなピザを乗せる大きなお皿と、ピザを切るためのナイフを手に取り、洗面台に向かおうとした。
お皿が大きかったため足元が見えにくい上、仕事で疲れ果てた足元は床のつまずきに対応できず、不意に転んでしまった。
ナイフを逆手に持っていたのが災いした。
転んだ拍子に、逆手のナイフが、お腹に突き刺さってしまったのだ。
床一面が赤く染まる。
呻き声をあげながら、みこさんの意識は遠退いていく。
帰宅した子供が赤く染まった床に転がるみこさんを見たときには、非日常の光景にパニックを起こしてしまった。
近所の人に助けを乞い、母を病院へと送る。幸いにも命は助かった。
日常の些細なことで、大きな傷と、子供にトラウマを与えたみこさんは、日常の中に潜む注意しなければ気付き得ないふとした恐怖に神経を尖らせるようになり、不眠が続いてるそうだ。
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