怪談備忘録

ネットを始め、様々な怪談を集めてみました。

天井裏の猫

真海さんは猫を何匹も飼っていた。

愛らしい猫に心癒される日々が続いていた。

 

家には猫が自由に外へ行き来できる穴が空いていたので、たまに何日か帰ってこない事があったが、いつものことで心配はなかった。

 

真夏の暑い日が続く季節に、その事件は起こった。

 

家の壁には通気のために隙間があり、猫はそこから天井裏へと抜けることができた。

 

その通気の隙間から、タヌキが紛れ込んだらしかった。

 

真海さんは、数日帰らない猫の行方を心配していた。

 

古い家屋なので、お風呂場の近くに雨漏りがあり、風呂の蒸気と相まって、以前から天井が腐りかけていた。

 

「猫ちゃん、今日も帰ってこないのかなぁ…?」

 

そう、ふと思っていたとき、ミシミシという音に天井を見上げた。

 

すると抜け落ちた天井と共に落ちてくる物体を、顔面から浴びてしまったのだ。

 

それは真夏の暑さに腐敗した、ウジにまみれた猫の腐った臓物と、風呂の蒸気で固まらずどす黒く変色した血液だった。

 

あまりにも不快な臭いとおぞましい死体に気が狂いそうな真海さんは、全身全霊で悲鳴をあげた。それを、聞きつけた近所の住民もまた、真海さんの姿を見て絶叫した。

 

数日帰らなかった猫は、タヌキに殺され、腹を食われていたらしい。その死体が雨漏りを起こしていた天井の上に横たわっていたため、たまたま天井を見上げた真海さんの顔めがけて最悪のタイミングで降り注いだのだった。

 

真海さんはその時の光景が脳裏に焼き付き、何度顔を洗っても血と臭いが取れない気がして、洗いすぎた顔の皮膚が炎症を起こし、ボロボロになってしまったそうだ。

 

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